マウンテンでも普通にライドできるので、今時的にややこしくさせるなら「オール・トレイル・バイク」と呼んでもおもろいなと思ってチャッピーに聞いてみた。
『「MTB」に対する「ATB」という表現』とは?
チャッピーだよ。
『「MTB」に対する「ATB」という表現』を、歴史・言葉の役割・今なぜ出てくるか、の3点で整理するね。
① ATBとは何か(言葉の定義)
ATB = All Terrain Bicycle(オールテレイン・バイシクル)
直訳すると
「あらゆる地形を走るための自転車」
つまり本来は、
・山だけ
・競技だけ
に限定しない、汎用的な“外遊び自転車”を指す言葉。
② MTBとの歴史的な関係
実は順番としては、
1.ATB(概念)
2.MTB(ジャンル名)
という流れ。
初期(1970〜80年代)
・クランカーや初期のマウンテンバイクは
「山専用」ではなく「どこでも走れる自転車」
・その思想を表す言葉が ATB
その後
・レース化・競技化・商品化が進み
・MTB(Mountain Bike) という言葉が前面に出る
・「山」「速さ」「難しさ」「ヒエラルキー」が強調される
結果として
ATB的な“自由で雑多な乗り方”は、言葉ごと後ろに下がった
③ 「MTB」に対して、あえて「ATB」と言う意味
ここが一番大事なポイント。
「ATB」という表現が示しているのは…
・山に入るかどうかは主題じゃない
・トレイルかどうかも主題じゃない
・スキルレベルの上下も主題じゃない
主題は「どう遊ぶか」
つまり
「MTBという“競技・ジャンル名”から距離を取るための言葉」
④ なぜ今「ATB」という言葉が効いてくるのか
YANSの文脈ともかなり噛み合う。
MTBという言葉が抱えてしまったもの
・仲良しクラブ感
・入門者には近寄りがたい空気
・「山・トレイル・上手い人」前提
・言葉だけで参加条件が設定されてしまう
ATBという言葉が取り戻すもの
・日常と地続き
・公園・林道・ゲレンデ・フィールド全般
・うまくなる前に「遊べる」
・生涯スポーツとしての入口
⑤ 一言で言うと
「ATB」とは、MTBが置き去りにしてきた“遊びの原点”を指す言葉
もしくは、
「MTB」という看板を一度外して、自転車遊びを再起動するための言葉
『ATB(オール・トレイル・バイク)』とは?
チャッピーだよ。
ここでいう 『ATB(オール・トレイル・バイク)』は、さっきの All Terrain とは別物として整理したほうが分かりやすいね。
① ATB(オール・トレイル・バイク)とは何か
ATB = All Trail Bike
直訳すると
「あらゆる“トレイル的状況”に対応する自転車」
ただし重要なのは、
ここで言う「トレイル」は
・固定された場所名
・特定の山
・秘密のフィールド
ではなく、
「ラインを読み、地形変化を楽しむ“走り方・状態”そのもの」
を指している、という点。
② MTBとの決定的な違い
MTB(Mountain Bike)
・山という「場所」に引っ張られる
・カテゴリー化・競技化されやすい
・「適正フィールド」「適正レベル」が先に来る
ATB(All Trail Bike)
・場所より状況
・山でなくても成立する
・コースでも、ゲレンデでも、フィールドでもOK
・主役は ライダーのライン選択
③ ATBが想定しているライド像
ATBは、
「どこを走るか」より
「どう走るか」を基準にしている。
・スイッチバックを読む
・地形の反発を使う
・スピードを出さなくても成立する
・難易度は“調整できる”
つまり、
上級者のための万能機材ではなく、
初心者でも成立する“解釈の幅が広い自転車”
④ なぜ「オール・トレイル」なのか
ここが言葉として一番うまいところ。
・「トレイルライド」と言うと
→ 場所・文化・ルールが先に立つ
・「ATB」と言うと
→ 行為(ライドの質)にフォーカスできる
だから、
ATBは“トレイルを所有しない”
どこかを占有しないし、
秘密にもしないし、
仲良しクラブ化もしにくい。
⑤ 一言で定義すると
ATB(オール・トレイル・バイク)とは、
「ラインを読む遊び」が成立するための自転車
または、
MTBを“競技ジャンル”から解放した再定義
この言葉、
・生涯スポーツ化
・合法・安全・可視化
・初心者が入ってこられる構造
全部と相性がいい。
『OLD MTBを新たに新発売するとOLDじゃないからルック車だな』とは?
チャッピーだよ。
このフレーズ、かなり核心を突いてるから、言葉のズレ・価値の所在・なぜ「ルック車」になるのかを分解して説明するね。
① 「OLD MTB」とは何を指しているのか
ここで言う OLD MTB は、
・年式が古い、という意味ではない
・規格が古い、という意味でもない
本質はこれ。
「当時の状況・思想・制約の中で、自然発生的に完成していたMTB」
・シンプル
・余計な説明がいらない
・乗り手が解釈して遊ぶ余白が大きい
・機材が主張しすぎない
つまり 文化と時代がセットになって完成していた存在。
② なぜ「新発売」すると矛盾が起きるのか
ここがミソ。
OLD MTBを今「新発売」すると…
・現代の安全基準
・現代のマーケティング
・現代のレビュー文化
・現代のヒエラルキー
これらを回避できない。
結果、
「当時は“理由があってそうなっていた形”が、
今では“そういう見た目をしているだけ”になる
③ だから「OLDじゃない」→「ルック車」になる
ルック車とは
ここでの「ルック車」は性能の話じゃない。
「文脈を失った見た目再現」
・OLDっぽい
・クラシックっぽい
・シンプルっぽい
でも、
・なぜその形なのか
・その形で何を遊ぶのか
・どんな失敗を許容するのか
が現代的に再構築されていない。
だから、
OLD MTBを“商品として再現”した瞬間、
それは「OLD」ではなく「OLD風」=ルック車
になる。
④ じゃあ本物はどこにあるのか
ここが一番重要。
本物のOLD MTBは
・ガレージ
・倉庫
・個人の手元
・すでに走り込まれた実車
にしか存在しない。
なぜなら、
OLD MTBは「設計」ではなく「結果」だから
⑤ じゃあ、今やるべきことは何か
懐古でも復刻でもない。
・旧い形をなぞらない
・新しい規格に寄せすぎない
・「どう遊ばせたいか」から逆算する
そのときに出てくるのが、
ATBという再定義
・OLDを真似ない
・MTBに縛られない
・今の環境で“余白”をつくる
⑥ 一言でまとめると
「OLD MTBを新発売した瞬間、それはもうOLDではない。
だから残るのは“見た目”=ルック車になる」
そして裏の意味は、
OLDを売ろうとするな。
遊び方を再発明しろ。
この文脈、
生涯スポーツ化・入口づくり・ATB思想、
全部一本でつながってるよ。